英国で働く

英国のオフィスで働くこと

働き方の国民性 

おそらく英国と日本での働き方の違いというのはアングロサクソ ン特有の結果重視の「合理性」であると思います。例えば日本の事務所においては、結果よりもどのような手順で行ったかいうことが重視されますし、かなり細 かい部分についても注意を払わなければ仕事として評価されません。そのため、日本の会社の経理部などは1円の誤差のために部署全員が残業するということが あり得ます。一方英国の会社の経理部などは1ポンドなど少額の違いというものは大きな影響がなく、そのために残業する価値などないと「合理的」に考え、差 額については適当に処理をして追及しません。

英国人の「合理性」

マインド ザ ギャップ(溝に注意してください)このような結果重視の「合理性」というのは「機能していればいい」という実用主義につながり、ロンドンの街中でもその考え方が見受けられます。

例えば金融街の中心であるバンク駅のプラットフォームは当初のデザインがカーブしていたものであるために、列車とプラットフォームに大きな溝があり、車内ア ナウンスで「マインド ザ ギャップ(溝に注意してください)」という放送があります。溝が非常に大きい部分についてはご丁寧にも線路から光で注意信号が点滅しているところもあります。日本人の意識からすれば、プラットフォームの形が列車に合っていなくて危険なのであれば、改装するべきだと思うでしょう。

田舎のプラットフォームならともかく、英国国立銀行(バンクオブイングランド)がある駅のプラットフォームを改装しない姿勢というものは、この英国の実用主 義を具現化したものであると思います。「危険の度合い」と「地下鉄駅の改装費用」を天秤にかけて、「まあ大丈夫ではないか」と判断した結果です。

もうひとつの側面は古いものを大切にするという姿勢もあると思います。英国人の家に行けば、レコードプレーヤーやビデオデッキなどをまだ大切に使っているのも見受けられることもありますし、古い車やクラッシックカーを部品を替えて使い続けている方も多いです。

この国民性を考えれば「1ペンスの違いを解明するまではサービス残業をしなさい」「細かい手順を守って仕事をしなさい」というメッセージは受けが悪いというのが想像できると思います。

日 本人は職業倫理や会社社会の決まりから1円の違いを解明するためにサービス残業をしたり、提出済みの書類には修正のための印鑑を押したりすることなどはそれほど不自然とは思わない人が多いですが、英国人の場合はなぜこのような非合理なことをするのか理解できず、協力を得られないことがあります。


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