ウォール街と並ぶ国際金融センター
英国の主たる産業はサービス業であり、金融業は代表的なものと言えます。正式にはシティオブロンドンと呼ばれますが、普通はシティと呼ばれる金融街は3キロメートル四方の街です。
英国のEU離脱で、シティの地位下落が心配されていますが、多くの識者はこれだけ金融の知識と人脈が蓄積された街はヨーロッパのどこにもないので地位を保ち続けるだろうと予想しています。
この場所に事務所を構える意義
銀行、証券や保険などの金融業の会社はこのエリアに集中しており、機能においてもイメージにおいてもシティに金融業の会社が事務所を構える意義は大きいです。大規模なトレーディングフロアはカナリーウォーフなどにあることが昨今では多いですが、高層ビルがまだまだ建設されていくのを見るにつけ、シティの人気は衰えないようです。
金融業の会社の売上は英国消費税(VAT)が免除になる割合が非常に高く、その比率に対応して家賃に付与されたVATのほとんどの額を還付できません。シティの多くの不動産はVATに登録していないことが多く、VAT登録をしていない不動産には購買VATが付与されませんので、還付できなくても費用は増えません。一方、ウエストエンドで家賃を払えば、還付できない部分において家賃が実質高くなることになります。そして一般的に言ってウエストエンドの家賃のほうが30%高いということになっていますので、VAT上の理由も加えれば金融業の会社がシティに集まるのは当然ということになるでしょう。
主な日系企業
日本の大手金融業の会社は多くがシティに事務所を構えています。
- 野村證券
- みずほ銀行
- 東京三菱UFJ銀行
- 三井住友銀行
- 東京海上
EU離脱でどう変わる?
英国における金融サービスの産業における比重は高く、ハードブレクジットと呼ばれるようなEUの単一市場にアクセスすることに合意が取れない形で離脱し、パスポート制度と呼ばれるラインセンスをシティが失うということは英国の国策から避けるべきであるという判断になっております。そのため、EUに拠出金を払い続けてでもシティのヨーロッパにおける金融の中心という地位を守り続けるのではないかと予想する人が多々あります。
Old street / Tech city
金融街の外れにあるオールドストリートは現在、英国のテクノロジービジネスの企業が集まり、テックシティと呼ばれています。以前はシリコンバレーの小規模版で駅の中心に交差点があったのでシリコンラウンドアバウトと呼ばれていましたが、政府のほうで新しい名前を準備したようです。ケンブリッジはテクノロジーの研究部門が集まりますが、オールドストリートはその技術を生かしたテクノロジービジネスが集まるという位置づけです。フィンテックと呼ばれる金融のテクノロジービジネスなどはシティの周辺部ということで増えています。オールドストリートの北側にあるEC1という住所は最近では一番会社登記数が多い郵便番号として知られています。